黒石の「東街道」

東街道(「あづま海道」とも呼ばれている)

 黒石町は、奥州市水沢の南東に位置し、北上川の左岸丘陵地にあり、古代から文化の郷として拓けた地域で、天平元年(729)に創建された黒石寺、延喜式内社・石手堰神社、中世の貞和4年(1348)開基の奥の正法寺などを有する歴史の薫る地域です。

 大化元年(645)、大和朝廷は詔勅の中で官道の設置を指令し、やがて国内に、東海道、東山道、北陸道などの七つの官道がつくられました。

 東海道は、都から伊勢(三重)、尾張(愛知)、相模(神奈川)を経て常陸(茨城)に至る道で、その延長が東街道と考えられます。東街道は、陸奥の菊多関、のちの勿来関(福島)から多賀城国府(宮城)まで延び、更に、北上川沿いを北上して、岩手の磐井、江刺、稗貫、紫波へとつづく道です。陸奥、出羽を通るもう一つの官道東山道と共に、古道であり、坂上田村麻呂や、阿弖流為らも戦いの攻守に駆けた道でもあります。

 黒石を通る東街道は、前沢地区・生母の天王から北上し、乱斗(白石沢)、ほりょう沢(下柳)、うれい野、念仏坂(長根)を経て鶴城に至る道と、黒石地区センター(鶴城)近く、丸内の上り口から赤坂(鶴城)を上り岩森を抜け、谷地(高清水)、熊ヶ沢(内堀)を経て羽田町黒田助に至る道があります。ことに、鶴城を起点とし羽田町黒田助に至る約4.6㌔の区間は、往古の姿を伝える歴史ロマンあふれる風景に満ちております。

 黒石地区振興会では、「ふるさと名所旧跡整備事業」の一環として、この古道の整備を行っております。

 

①鶴城から高清水に向かう県道沿いにある「龍門の滝」。舟滝,釜滝,升滝の三層から落下する。水源は大鉢森山。

 

④高清水の森を抜けた所にある江戸時代に建てられた道標・追分の石。「右ハ黒石街道,左ハ正法寺通」と刻まれている。

⑦パークゴルフ場を過ぎると道は二つに分岐。左手の藪の深い細い道がしばらく続き、そこを抜けるとのどかな田園府警が眼前にあります。

②黒石地区センター近くの県道沿いに、東街道の看板が見える。ここが高清水方面に向かう入口となる。

 

⑤高清水八幡宮と湧水「高清水」。平安時代、八幡太郎義家が前九年の役の道すがら立ち寄り、矢じりで掘ったら湧いたと伝えられる。

⑧田園風景の前方に、真新しい石柱があります。東街道の黒石と羽田の境界点です。あとは、ここから真っすぐ下り道です。

③谷地付近(高清水)の街道沿いには赤松林がつづき大いなる情緒とロマンが感じられる。

 

⑥追分の碑から市道沿いに少し進むと高清水八幡宮。左側のパークゴルフ場に進む道が東街道。東屋が見えます。

 

⑨やがて、アスファルト道に出るとT字路の右手に、羽田黒田助観音が安置されている安養寺、またビオトープ水辺のある劉ヶ淵公園があります。